数年来のANA派であり、2016年にSFC取得、2018年にはダイヤモンドも達成した私ですが、2019年はまさかのプラチナすら未達成、ブロンズ降格となりました(SFCがあるのでスターアライアンスゴールドは維持しています)。これも良い機会?なので、今年は他の航空会社やアライアンスも試してみようかと浮気心を起こしていた折、タイミングよく日本出張の機会がありました。
いつものスターアライアンス以外にも目を向けてフライトを検索した結果、目に留まったのはヨーロッパ経由の便、具体的にはエールフランスのCDG経由、KLMのAMS経由、そしてBAのLHR経由でした。日米間をヨーロッパ経由で行くルートを考慮したことは過去ありませんでしたが、比較的リーズナブルな金額の便が見つかったこと、飛行時間もそれほど非現実的ではないこと、そして何より今回の出張一回だけでワンワールドサファイアが取れるということが判明し、BAのロンドン経由便を選ぶことにしました。
BAのエリートステータスは取得のハードルが低い
SFC修行の例を出すまでもなく、エリート資格の取得は時間もお金もかかるものです。社用で海外出張の機会がある場合でも、年に数回の海外出張がなければスターアライアンスゴールドの取得は難しいのではないでしょうか。しかしBritish Airways Executive Club(以下BAEC)の制度を調べてみたところ、ステータス取得のハードルが随分と低いように思われました。
BAECのステータス取得は、Tier Point(以下TP)と呼ばれる飛行距離とクラスに連動して付与されるポイントの獲得と、BA便への搭乗回数が条件となっています。ANAの場合も規定のプレミアムポイントの獲得と、プレミアムポイントのうち一定数がANA運航便であることを条件にしていますので、基本的な考え方は似ています。しかし実際の条件達成について比較してみるとBAのほうが有利なのです。
ほぼ同等のステータスであるANAプラチナ(スターアライアンス・ゴールド相当)とBAシルバー(ワンワールド・サファイア相当)の獲得条件について比較してみましょう。まずは獲得ポイントの達成のし易さです。両者の条件を揃えるため、同一ルートである羽田・ロンドン便を使った場合を想定し、ANA便ではC/D/Zクラスを利用、プレミアムメンバーステータスによる加算なしで計算しています。
ANA プラチナ | BAEC シルバー | |
該当ステータス獲得に必要なポイント | 50,000 PP | 600 TP |
羽田・ロンドン往復ビジネスでの獲得ポイント | 16,334 PP | 320 TP |
上記の通り、同等のステータスを獲得するのに3往復が必要なANAに対してBAは2往復で済みます。 明らかにBA便の方が効率的に必要ポイントを獲得できることが分かります。
もう一つの条件についてはどうでしょうか。ANAプラチナでは50,000のうち半分の25,000 PPがANA運航便によるものである必要があり、BAの場合はBA便を4回搭乗することが条件になっています。上で挙げたロンドン便で達成する場合は2往復をすべてBA便にしなければならないBAの方がハードルが高くなりそうに思えますが、次のことを考慮すると少し状況が変わってきます。
- BA便名のJAL運行便でもよい
- 乗り継ぎの便の搭乗回数が各区間でカウントされる
1点めの例として、ANAではANA便名のUA運航便は25,000 PPにカウントされませんが、BAではBA便名のJAL運航便も4回の搭乗にカウントされるということです。2点めは説明するまでもないと思いますが、乗継がある場合その前後の各区間が1回の搭乗としてカウントされるということです。ANAでは乗継があろうとなかろうと飛行距離を稼がなければ25,000 PPには貢献しないのに対して、BAでは同一距離でも乗継をはさむことで搭乗回数を稼ぐことができるわけです。
ヨーロッパ経由の日米往復でシルバーを一発取得
上記の比較からANAプラチナとBAシルバーではBAの方が取得しやすいことが分かりましたが、普通に羽田・ロンドンを往復するだけでは、BAの場合でもビジネスクラスで2往復しなければシルバーは達成できません。しかしロンドン経由で日本・アメリカを往復することによりこれを1回で取得することができます。それでは時間もお金も2往復するのと変わらないと思いますか?実際に比較してみましょう。
下のスクリーンショットは一例として羽田JFK往復のビジネスクラスを検索した結果です。ANAは直行便ですので所要時間はさすがに優位ですが、BAの21時間もそれほど非現実的とは思いません。金額面では、ANAはどの日付で検索してもほぼ7,000ドルなのに対して、BAは日によって5,000から10,000オーバーまで開きがあったものの、決して最安値の5,000ドルが例外的な金額というわけではありません。費用面では羽田ロンドン2往復よりもお得です。
そして上記BAの便を選択した場合、搭乗回数は羽田・ロンドンとロンドン・JFKがそれぞれ別にカウントされるためこの1往復で計4回の搭乗となり、Tier Pointについては6,000マイル超の羽田・ロンドンが片道160 TP、3,000マイル超のロンドン・JFK間が片道140 TPを付与され、計600 TPをこの1往復で獲得することができるのです。この1往復で、BAシルバーの条件をどちらも達成してしまいました。
初めてのBA利用ならステータスを2年間維持
ANAではPPの計算は暦年で毎年1月1日から12月31日までで計算され、翌年4月1日から1年間にわたってステータスのベネフィットを受けることができます。条件達成の時点で事前サービスを受けることができますので、理論上は最長で2年間ステータスを維持することが可能です。
しかし現実的には、4月から3回の米国出張をするには数ヶ月を要するのではないでしょうか。タイミングよく年の前半に出張が発生するとも限りません。年末ギリギリになってようやく達成という人も多いはずです。
BAのTier Point Collection Yearは自分がはじめてTier Pointを獲得したときから始まります。ANAのように誰もが一律1月や4月に始まるわけではありません。ですので、もし初めてのBA利用でロンドン経由日本アメリカ往復便を利用した場合、それが何月であろうと関係なく2年間BAシルバーのベネフィットを受けることが確定するわけです。私も無事に2021年4月末までBAシルバーのステータスを維持することができました。
以上がワンワールドサファイアを一発で取得して丸2年間取得する方法になります。ビジネスクラスの利用が前提になりますので費用重視の修行をされる方には選択肢になりえないかもしれません。またフライトの料金についてもアメリカ発券と日本発券では条件が異なってきます。しかしもし日本・アメリカをビジネスクラスで往復する予定が既にある人にとっては、十分検討する価値があるのではないでしょうか。
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